酔いどれ先生のICT備忘録

最近のアクティブラーニング教育事情、最新ガジェットについて綴っています。

教員採用までの道のり

今月に入って退職に伴う年休消化でゆっくりとした時間を過ごすことができています。それにしても、よくもまぁブラック中小企業のサラリーマンから教員へ転職できたものだなぁと改めて感じています。

 

一般的な私学の教員採用への道

ところで、教員をめざす方はどのような方法で採用されていくのでしょう。

募集方法

公立校の場合は、各自治体の教育委員会が年1回実施する教員採用試験を受験し、一次試験(筆記試験)と二次試験(面接)をクリアしたら晴れてめでたく教員になることができます。但し、勤務校は選ぶことはできません。

私立校の場合、学校が独自で採用試験を実施します。但し、公立校のように毎年実施されるというわけではなく、あくまでも欠員が生じた場合にその都度募集されるということがほとんどで、採用人数も若干名といったように狭き門となっているのが特徴的です。募集方法も学校によってさまざまです。ホームページ上で募集する学校、新聞広告で募集する学校、大学の就職部へ求人票を送る学校、私学適性検査を利用する学校、公募はせず紹介などで採用者を決めるといった学校もあります。

 

募集職種

民間企業でいうところの正社員に当てはまるのが「専任教諭」です。但し、私立校の場合は最初から「専任教諭」として採用されることはほとんどありません。多くの場合、年限条件付きの雇用形態「常勤講師」として募集するところがほとんどです。仕事内容は、教科指導・クラス担任・クラブ顧問・公務分掌など「専任教諭」と全くといっていいほど同じ仕事内容、同じ責任をおわなければなりません。世間一般からすると、なんて理不尽な!と思われがちですが、これが私立校の常識です。

保護者の立場になって考えてみれば少しは理解しやすいかと思いますが、やはり中には生徒指導ができない、クラス運営ができない、子どもとの接し方に問題がある等、適性のない教員は少なからず存在しています。そんな教員が定年まで教育現場で居座りつづけて一番不幸になるのは子ども達です。ですので、学校側が、教員としての適性をじっくり見定めるために年限条件付の「常勤講師」として雇用をするのが一般的です。とはいっても、私の知っている限りでは「常勤講師」で採用されたうち8~9割は、3年以内に専任教諭になられている先生です。

選考試験

まず、最初に多数の応募者の中から書類選考で条件にあった人材をふるいにかけます。その後、筆記試験→模擬授業→管理職面接といった流れが多いようです。面接だけ実施という学校もあります。尚、採用が決定した場合は、その学校へ勤務することになります。

 

私の場合

新聞を眺めていたら、ある学校が教員を募集していることを知り、早速、ホームページで確認して応募することにしました。
 

一次選考(書類選考)

履歴書と小論文を提出して一週間後、書類選考の通過連絡がありました。二週間後に筆記試験が実施されるとのことでその日から必死で対策をしたのを覚えています。社会科という教科は厄介で、出題範囲は日本史、世界史、政治経済、地理、倫理と多岐に渡ります。私の専門は政治経済と世界史でしたが、教員の経験があるとはいえ、現場から離れて5年が経っていましたので記憶を取り戻すのに一苦労です。通勤中に山川の一問一答を時間の許す限り読み返しました。
 

二次選考(筆記試験と小論文)

一次選考は専門試験と小論文でした。専門試験は専門の政治経済と世界史の分野はほぼ正解だったはずですが、その他の科目については自信がありませんでした。小論文については、自分自身の教育観を問う設問でしたので、ここは制限時間最大限利用しての思いの内を表現できました。
 
そして、数日後。二次選考通過の通知が届いていました。自信がなかっただけに、飛び上がるほど嬉しかったことを覚えています。
 

最終選考(模擬授業と面接)

模擬授業とは文字通り、実際に生徒に対して授業をするように、面接官を生徒に見立てて授業を行う試験です。「それでは教室へお入りください。」と言われた瞬間から模擬授業はスタートします。まずは氏名、担当教科を面接官に伝えるところまでは緊張してしまいましたが、いざ模擬授業に入ってしまうと、以前教壇に立っていた経験もある程度ありましたので、当時の教え子達に教えるように明るくに笑顔で楽しく授業をすることができました。10分という短い時間でしたので、まず初めに授業のねらいをうまく説明しながら、導入で生徒の興味関心をひきつけて、いよいよ本題というところでちょうど10分いくかいかないかといった感じでした。
 
その後、別室へ移って面接が実施されます。まずは、先に行われた模擬授業について「授業をするにあたってどのような【ねらい】を持って展開しましたか?」という質問がありました。その後は、「教科は何が教えられますか?」「クラブ活動の指導はできますか?「経歴について簡単に説明をしてください。」といった程度でした。面接はせっかくの自己PRの場なわけですから、問いに対する答えだけ完結させてしまうのではなく、自分の言葉で上手にプラスアルファの部分を加えて伝えることによって、面接官に人となりを評価してもらえるのではないでしょうか。たいてい教師という職に就く人の多くは話し上手が多いのでその点は心配はないのかもしれません。むしろしゃべり過ぎには注意が必要なのかも(笑)
 

選考結果の通知が届く

最終選考の翌日、選考結果の封筒が届きました。封を開ける手が若干震えていましたが、恐る恐るあけてみると
 
「採用内定のお知らせ」
 
の文字が目に飛び込んできました。自分の年齢からしてもこれが最後のチャンスと覚悟を決めて臨んだだけに、一発で内定をいただけたのは本当に嬉しかったです。自分のどこを評価してもらったのかは聞いてみないと分かりませんが、やはり教科指導が出来ること、クラブ指導が出来ることを上手に面接官の先生に示せたこと、そして何より民間での経験をこれからの学校運営やクラス経営にどのように活かしていきたいかを示すことができたからではないかと思っています。
 
4月からは人生二度目の教員生活がスタートします。正直、ブランクがある分すぐに勘を取り戻すことができるか不安ではありますが、初心を忘れることなく生徒のため学校のために力を発揮できるよう仕事に臨みたいと思います。
 
これからのブログ運営として、今回取り上げたような学校をとりまくしくみ等について個人的な体験談を交えながら紹介していければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
 

 

私学の理想と現実: その教育と経営

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