酔いどれ先生のICT備忘録

最近のアクティブラーニング教育事情、最新ガジェットについて綴っています。

我が子の教育について考える「2020年」問題

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そろそろ子どもが4歳を迎える頃となり、幼稚園は私立に入れるのか公立に入れるのか、小学校受験をさせるのか、中学・高校はどうする?大学はどうする?と考え出したらキリがないですが、しかし、我が子に関わるテーマでもありますからのんびりしてもいられません。そもそも、教育の世界では一体何が起こっているのか?今回はいつもと志向を変えて書きたいと思います。

 

どうやら「教育の2020年問題」というものがあるらしい

現在の中学1年生が、大学受験をむかえる2020年から大学入試に英語の外部試験の成績が活用されることを「2020年問題」と呼んでいるそうです。そもそも、なぜこのような検討がされているかというと、現在の入試問題は、「読む」「書く」ということにウエイトが置かれており、「聞く」「話す」という部分がおざなりになっています。それではこれからのグローバル社会に対応した人材を育成することは難しいだろうと考えた文部科学省が、今後は「聞く」「話す」「読む」「書く」ことを総合的に学び、コミュニケーション力を育成していくために、それぞれの技能を評価するTOEICTOEFLなどの外部試験を活用して、それらを大学入試の成績に反映させることで人材育成のボトムアップを図ろうとしています。

 

既に「2020年問題」対策に乗り出す学校も

これは、来る「2020年問題」を見据え、一部の学校では既に「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」や「国際バカロレア」といったカリキュラムで対応を始めているようです。 

SGH(スーパーグローバルハイスクール)

  1. 目的

 急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ,社会課題に対する関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する。

2. 事業概要

 国際化を進める国内の大学を中心に,企業,国際機関等と連携を図り,グローバルな社会課題を発見・解決できる人材や,グローバルなビジネスで活躍できる人材の育成に取り組む高等学校等を「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定し,質の高いカリキュラムの開発・実践やその体制整備を進める。

3. 指定期間:5年間(平成26年度から30年度)

4. 対象学校:国公私立高等学校及び中高一貫教育校(中等教育学校,併設型及び連携型中学校・高等学校) 

 国際バカロレア

国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置。現在、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施。 

 

「2020年問題」がもたらす結果

教育政策の一環であるので、教育を受ける側からすれば行政の決定事項に従うしかないのですが、一方で教育を施す学校側からすれば、このまま「2020年問題」に対する取り組みに学校間で温度差が開けば開くほど、当然生徒や保護者から選ばれる学校・選ばれない学校が顕著に現れ、私学に限って言えば、もしかすると自分の母校ですら統廃合の対象になり得る可能性があるのかも知れません。そのような学校に我が子を預けたいとは思えないわけです。

歴史的にみた我が国の英語教育

そもそも、日本で英語教育が本格的にはじまったのは明治維新後と言われています。これにより、ヨーロッパにならった学校制度ができ、外国語としての英語教育が導入されました。一時期は、小学校でも英語教育が行われていたようですが、戦中の日本語を重視した教育政策や戦争などにより、後に中断されてしまいました。そして、2013年になって再び小学校での英語教育が再開されています。やはり、再開の理由は、これからのグローバル化する世の中において国際感覚を持った人材を育成することが目的とされています。 

「2020年問題」対策を先取りをする大阪府

大阪府では2017年度の府立高校入試から外部試験の成績を英語の試験に換算できるようにすることをすでに決定しており、「2020年問題」に先駆けて大阪府では時代を先取りしていると言えます。

大阪府教育委員会(府教委)では、「実践的に使える」英語教育への転換に向けて様々な施策を講じています。その施策の中核は、「読む・聞く・書く・話す」の4技能をバランスよく学習することにあると考えています。今回、平成29年度の大阪府立高校入学者選抜から、難易度が最も高い英語の学力検査問題を大きく改革することとしましたが、これは、上記の「4技能」に対する考え方を高校入学者選抜という形で具現化したものです。4技能をバランスよく学習することは、中学校の学習指導要領がまさに求めるところであり、今回の改革によって、高校入学者選抜が学習指導要領の理想とする求めに初めて追いつこうとしています。(大阪府ホームページより)

 やはり、「読む」「書く」から「聞く」「話す」の技能要素を加え、グローバル社会で必要とされ得る実践力を身につけることが目的のようです。

 

まとめ

これらの取り組みに共通して言えることはグローバル化が進む中で、日本の「英語」に対する考え方が変わりつつあるということです。「2020年問題」という公教育についてのパラダイムシフトが起こりつつある状況だからこそ、我が子を学ばせる学校選びのポイントとして、「2020年問題」にしっかりと向き合った教育を施してくれるかどうかも大きく関わってくるのではないかと思います。