35歳で会社員から教員に転職した酔いどれパパの備忘録

会社員から教員になるまでの苦労話、日々の現場で考えること、教員志望者に役立つ話、等。

公立と私立の違いとは何か

 前回は、教員目線からの公立校と私立校の共通点について書きました。

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 今回は、教員目線からの公立校と私立校の相違点についてご紹介します。

建学(立学)の精神に基づいた教育を実施

公立との最大の違いは私立には何といっても「建学(立学)の精神」があるという点です。私立学校は、教育委員会のもとに置かれる公立校とは異なり、それぞれの創設者が私財をなげうって自分が理想と信じる教育をめざして学校設立に力を尽くしてこられました。そして、創設者がどのような思いを持って、どのような人材を育成しようとしたのか、それを表したものが「建学の精神」です。公立校の設立については、その時代における就学人口の割合から受け入れが困難と判断された場合に、定員が増やされたり、それでも対応できない場合は新たに学校が設立されたりします。つまり、行政運営上必要と判断された場合には新設開校され、不要と判断された場合には統廃合の対象となりその役目を終えます。こういった観点からも、私立学校を設立するにあたっての教育に対する情熱の注がれ方が根本的に異なっているのです。

つまり、100の私立学校があれば100通りの建学の精神が存在するというわけです。そして、今日国内に存在する私立学校の全てにおいて、その創設者の思いが大切に受け継がれているということになります。そのため、学校の成り立ちにおいても、男子校・女子校・共学校といった違いからはじまり、大学への連携教育をめざす大学附属校、宗教普及のためのミッション校、企業人として理想の人材を育成するために実業家によって設立された学校、裁縫塾など実学を身につけるための学校など、実にさまざま。

 

私立には転勤がない

前述では学校の生い立ちについての違いを紹介しました。次に教員が勤務する上で違ってくるが、転勤の有無です。公立では5年前後で勤務校が変わりますが、私立には原則として転勤はありません。但し、同一の学校法人内の系列校間で人事異動がある私学もあります。

メリット

  • 長年に渡って同一校で教えることができるので学校にとって教育の継続性を保ちやすく、ブレの少ない教育活動を展開できる。
  • 人間関係でもしうまくいかなかったとしても、数年間我慢すれば職場が変わるので、また新たな気持ちでスタートを切ることが出来る。(本人の考え方次第だとは思いますが。)
  • 送り出した卒業生が母校訪問しやすいので、教え子の成長した姿をみることができる。
  • 転勤がないので、思い切ってマイホームを購入することができる。

デメリット

  • 自分の教育に対する考え方と建学の精神とがかみ合わない場合でも、自分の考えを押し殺して勤務し続けなければならない。(熱意ある教員ほどキツイと感じると思います。)
  • 人間関係でうまくいかない場合も原則として転勤がないので、同僚となる教員とは上手に付き合いつづけなければならない。

個人的には、それほどデメリットはないかなと思っています。

 

生徒獲得に向けた学校間競争の激しさ

校区が決められており、口をあけて待っているだけで毎年募集定員を満たした生徒が入学してくる公立校とは違い、私立はその教育内容が評価されることによって入学者数が増えたり減ったりします。私立は何といっても授業料が公立より高い。保護者は高い授業料を払ってわが子に将来の投資をしているのだから、投資に見合った成果を期待します。期待を裏切る結果となってしまった場合、クチコミがクチコミを呼び、やがては募集定員を割ってしまうだけならいいですが、生徒数が減ると収入も少なくなります。徐々に教育環境にかけるコストが削減されてしまうと、教育環境の悪化を招き、それが教育の質低下へとつながり、それがまた保護者同士のクチコミとなって広まれば、また生徒数が減り、生徒数が減れば収入がさらに少なくなり・・・。まさに負のスパイラルへと入っていくわけです。確かに公立の場合も、高等学校になってくると学力による学校間の序列化が明確になることはありますが、学力相応の現存する高校へとグループ分けされて入学していくだけですから、私立のような悲壮感というものはおそらくないのではないかと思います。しかし、ピンチはチャンスという言葉があります。自分が勤務すする学校をより良くしていこうという気持ちが高ければ高いほど、学校全体として改革の気運も高まり活気ある学校づくりに向けて参画することができます。

一方で、自分は目の前の子ども達に対して精一杯の教育をしてあげたいんだ、だから学校全体のことよりも子どもたちとしっかり向き合う教育を優先したいんだ、という考え方の教員もおそらくいると思います。そういう人は公立校を目指された方がお互いにとって幸せになれるのではないでしょうか。

 

まとめ

  • 私立学校とは建学の精神に基づいて、創設者の思いを引き継ぐとともにその具現化に向けた教育活動を展開しなければならない。
  • 転勤がないので、じっくりと腰を据えて愛校心を持って職務に専念することができる。
  • 目の前の子どもに対して教育に終始一貫するのではなく、それを通じて学校全体をいかにより良くして行けばよいのか、我が国の教育の在り方をいかにより良くして行けばよいのか、といった教育を広い視野で捉えたい人が私立学校に求められている。

 

日本人をつくった教育―寺子屋・私塾・藩校 (日本を知る)

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